コミュニティ通訳(CI)は、自らの属する社会の公用語または主要言語を解さない個人や集団のために行われ、これらの言語で提供される政府や地方自治体のサービスを受けること、ならびにサービス提供者との間の意思疎通を可能にする。CIが用いられる典型的な場面は、福祉・住宅・雇用・教育などに関連する社会サービス、保育所・病院・メンタルクリニックなどの医療施設、または刑務所・警察署・保護観察所などの司法の現場である。コミュニティ通訳者は、通訳を必要とする場の要請に応じた適切な通訳の方式・方略に精通していなければならない。例えば、入居申請や、警察の取り調べ、健康診断といった場面では、短い対話通訳またはリエゾン通訳が用いられる。 難民認定申請における本人の説明や、法廷で弱い立場の証人が発言する場合であれば、メモを取りながら逐次通訳を行う。一方、法廷における検察官の論告や被告側の最終弁論、学校の保護者会、婦人保護施設の週次定例会などでは、一人または少数の利用者に対し、ウィスパリング(仏語ではシュショタージュ)による同時通訳を行うことが多い。聴衆が多ければ、ポータブル機材や通訳ブースを使うこともある。コミュニティ通訳者は、現場で様々な私的・公的な文書を翻訳しなければならないことも多く、電話やテレビ会議による通訳を求められる機会も増えている。つまり、コミュニティ通訳者と会議通訳者を分けているのは、通訳の方式・方略ではないということだ。むしろ、CIの場合は、内容が微妙で繊細、かつ個人的であり、時にきわめて苦痛だったり、敵対的だったりする制度的背景と、サービス提供者と利用者の間で双方向に訳すという作業環境が会議通訳とは異なる。加えて、人と人との距離や関係当事者の顔ぶれ、格式の度合いや、言語使用域もまったく違う。さらに全体的な面で見ても、CIは社会的性質、専門職化、報酬体系などの点で独自性を持った一つの専門職なのである。